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三国志 第五巻 宮城谷昌光

 天下分け目の官渡の戦い。二州しか領していない曹操は、果敢にも4州を領する北の巨人、袁紹に挑む。まぁ、袁紹の巨大さは半分見せかけで、内実はお寒いところがあったけど……有能な人材を多数抱えながらうまく扱うことが全くできない袁紹が憐れだった。これでアドバイスをくれる人間がひとりだけなら、その能力が多少劣っていても上手く物事が運んだ気がする。賈クと張シュウが非常に対照的だ。
 船頭に判断力がないと、客を多く乗せただけで、船頭が多いのと同じ結果を招くらしい。
 田豊と沮授という軍事に優れた人間が、片方の派閥に偏っていたことも問題だ。それには必然性があったかもしれないが。

 曹操の視点からみれば、この戦争は大成功。周囲を敵に囲まれた状態を巧みに立ちまわって解消すると袁紹相手に全力を集中できている。ただでさえ国力に劣るのに内線の立場にあるのだから天子を握っていてもきつかったはずだ。むしろそれが目立って目の敵にされかねないわけで。
 厳しい状況で能動的な行動に出て、自分の運命を切り開く。曹操の凄さがいつも以上に伝わってくる巻だった。

 そして、劉備の不思議ちゃんっぷりも……基本的に行動が曖昧模糊としているが、逃げるときだけは異常にハッキリとする。生き残りの才能に掛けては天賦のものを持っていると言っても過言ではない。しかし、蜀を領することになるのは不思議だ。

 曹操が呂布のところから得た人材で、内政向きの方に注目して張遼をスルーしているのは玄人好みの一段上、ぶっちゃけ高二病っぽいとも言える。高順もいるし、呂布がずいぶん優れた人材を持っていたことに驚いた。勤皇の旗が人を引き寄せるのか?もともと徐州が人材豊富な地だったことも影響していそうだ。

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三国志〈第5巻〉
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:25 | comments(0) | trackbacks(0)

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