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孟夏の太陽 宮城谷昌光

 晋の貴族から国を興した趙の一族について、重耳につかえた趙衰の息子趙盾を手はじめに戦国時代の始まりまでの代を描いていく。
 多くの宮城谷作品で名脇役をこなしている趙盾が主役になっているのは感慨深いものがある。再び脇役として再会した時に深い愛着をもって彼のことを見ることができるのではないか。

 彼の子孫も激しくはないが、しっかりと輝き続ける人物ばかりで趙氏が繁栄していったのも当然と思われた。嗣子の立て方に紆余曲折があっても、極端な混乱がなく代が続いていっていることは大きい。
 長子への教育が優れているおかげと思われた。

 代わりというわけでもあるまいが、酷い内乱をみせてくれたのが周王室だ。長きにわたった王子朝の乱がどれだけの損害を世界の中心に及ぼしたことか、想像するだけで頭が痛くなってくる。
 軍事に優れ、強い意志をもった人物であることは間違いないのに、彼の行動が周をさらに衰退させる方向にしか影響を及ぼさなかったのは皮肉だ。

 まぁ、趙家もよその批判ばかりをしていられる立場ではなく、知伯を滅ぼした後に晋王室を立て直す方向に働かなかったことは、野心的である。趙盾が受けた仕打ちを思い出せば、心のそこから忠節を尽くせなくなるのもしかたないことではある。

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孟夏の太陽 (文春文庫)
孟夏の太陽 (文春文庫)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 20:43 | comments(0) | trackbacks(0)

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