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皇国の守護者1巻〜反逆の戦場 佐藤大輔

 分化する胚が成長の中で生命の進化を追体験するように、主人公新城直衛その人が軍事史を進化させる歴史となる。そんな作品――と定義できるほど一筋縄で語れる対象であったなら。
 実際は一本の縄のようにみえてもその内実はいくつもの細線が複雑によりあわされ、その線自体がカーボンナノチューブみたいに難しい構造をとっているのだから、もう、まったく始末におえない。

 難しく考えなければ、極悪非道の帝国に侵略される平和な島国。その未来を背負う若き英雄の獅子奮迅の働きを記す作品なのだけど――書いてて吹きそうになった。柄じゃない。
 帝国軍の方がビジュアル的に洗練されているとなればなおさら。
 経済の利益だけを優先させて道義をわきまえない守銭奴国家皇国、それに正義の鉄槌を下す見目麗しい王女様と白馬の騎士団。その眼前に立ちはだかる小悪党一匹。
 うん、こっちの方がしっくりくる。

 設定の方はさすがに後で微修正を受けている部分があって、笹嶋のセリフの中で人間と契約した若干の天龍はこの場にいたら戦争に協力してくれそう、と語られているのはその最もたるものだろう。さいきん(だいぶ前だが)の巻では坂東一之丞が一頭で戦局変えられるとのたまっているのだから。
 まぁ、無粋なツッコミどころよりも、精緻で重厚、血肉の通った世界観に酔いしれるのが大協約に適う道。

皇国の守護者〈1〉反逆の戦場
皇国の守護者〈1〉反逆の戦場
佐藤 大輔
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