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子産・上 宮城谷昌光

 中華の中心であると同時に、大国の狭間で翻弄される小国の悲哀にさらされ続けた「鄭」に生まれた子産の生涯をつづる歴史作品。まずは子産の父親である子国の視点を中心に春秋戦国時代前期の姿が描かれる。
 戦いが非常に多くて楽しめたが、子産の人格形成に重点が置かれていない気がして違和感もあった。戦乱に明け暮れる時代に育ったことが最大のポイントと言うべきなのかもしれない。
 子産の子供にしては鋭すぎる指摘を畏れず、伸ばすように努めた周囲は立派だと思った。

 鄭は憐れとは言っても雲散霧消してしまうような小国に比べれば、名宰相を何人も輩出したり、東周の初期には大国であったりして、恵まれている方だ。大国の気まぐれどころか、異民族の侵入ひとつで地上から消し飛んでしまう本当の小国――というか邑――にも同情したい。

 楚の荘王が亡くなって次の共王の時代であるが、宋の宰相華元は変わらず元気で随所に名前が出てきていた。彼の名前を構成する文字だけは、周代以前の呪力を残している気がしてしまう……他人の将器を論評しているのは、何の冗談かと。
 将がどれだけ優れていても、勝利が手元から逃げてしまう戦争の“摩擦”を誰よりも知っている男なのだから、もっと注意してほしかった。でも、戦争に関して細心である華元は華元じゃない気もする。

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子産(上) (講談社文庫)
子産(上) (講談社文庫)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:07 | comments(0) | trackbacks(0)

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