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沙中の回廊・上 宮城谷昌光

 晋の偉大な武人「士会」の生涯をえがく作品。上巻は晋の文公が即位したときから始まって、襄公が崩御するところまで。
 ともかく戦いに明け暮れた時代だ。しかも、大国の晋ゆえに数万の兵力を動員することが常識的な雰囲気になっている。5千くらいの兵力でチマチマ戦っている宋や鄭とは大違いである。
 戦術もかなり洗練されていて、帰路の秦軍を襲った戦いは見事だった。壊滅的な打撃を受けながら三年したら数万の軍勢を発することのできる秦もたいした底力の持ち主だ。

 文公が目立ってはいるが、楚の成王も秦の穆公も共に器量に満ちた名君であり、春秋時代初期の君主が絶大な権力をふるっていた時代の空気が感じられた。辺境に位置する楚と秦に関しては時代が進んでも強い権力をもっているが。
 成王は荘王がいなければ春秋五覇に数えられても不思議ない気がする。重耳をもてなした基準で五覇を決めてしまえば、斉の桓公・宋の襄公・楚の成王・秦の穆公・晋の文公になるんじゃないかな〜。そんな基準はなしか。

 晋の力は強大だが、文公の時代から家臣同士の不和が嫌な感じで続いていることが、士会の視点からは分かりやすかった。
 公族が権力を握っている場合と違って、仲の悪さが目立ちがちなだけかもしれないが……。どうしても内に向きそうになる力をうまくまとめて外に向けることが晋の経営においては肝要とみた。

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宮城谷昌光「沙中の回廊」に描かれた「城濮の戦い」を戦況図化してみた

沙中の回廊〈上〉
沙中の回廊〈上〉
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:27 | comments(0) | trackbacks(0)

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