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日本史リブレット 都市平泉の遺産 入間田宣夫

 世界遺産にも登録された奥州藤原氏が造った都市「平泉」の姿を浮き彫りにすることを目指したリブレット。北の京都というおぼろなイメージが払拭され、武士的なありかたや宗教との関係が多いに反映された平泉の姿が脳裏に浮上してきた。

 しかし、ちょっと箱モノ都市っぽい。施設を中心に紹介された影響があるのかもしれないが、そこに住む民衆の生活をイメージさせにくい内容だった。素晴らしい記録が発掘されているだけに――1000年近く前の杉板が書かれた字の読める状態で出てくるなんて凄すぎる――支配階級に視点が偏っていた印象がある。
 まぁ、実際施設のレベルの割に、人口は少なかったのではないか。行政や輸送のために必要な人間は集まってくるけれど、町そのものに産業があるというよりは東北における物資輸送の結節点として栄えたようなので。

 頼朝に奥州藤原氏が滅ぼされたときも自焼されたと思われる館以外は無傷で、むしろ鎌倉殿は都市の保全につとめたことが分かって良かった。その後の失火や兵火で施設が櫛の歯を欠くように失われていったのは、再建するだけの価値を時の施政者が認めなかったせいになろうか。

 日本史リブレットのおかげで、前九年の役や後三年の役にも段々親しみを覚えてきた。修羅の刻 源義経編で、藤原氏と陸奥圓明流に約定が結ばれたのは後三年の役のことなのかなぁ。
 ともかく、清衡は平泉と奥州藤原氏を建設するにあたって、いろいろと魔術的な外交(朝廷工作)を展開していたようだ。案外、朝廷が持つ「華夷思想」のおかげで、絶妙な独立的地位を確保することができたのかもしれない。

都市平泉の遺産 (日本史リブレット)
都市平泉の遺産 (日本史リブレット)
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