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草原の風・中 宮城谷昌光 中央公論新社

 順調に進むかに見えた劉氏の挙兵は、劉秀の兄、劉エン (伯升)が盗賊上がりの派閥に嫉妬を買ったことから危うい方向に走りだす。
 それでも王莽が倒されるところまで行ったのは、王莽に徳がなかったおかげか。最期まで従った人間は、下手な“正統王朝”の最後の皇帝よりも多いんだけどな。あれでも最後であると同時に“初代”というだけの事はあるのかもしれない。

 昆陽の戦いで大敗を喫した王邑の最後は見事だった。息子は生き延びさせてやれと思わないでもないが、自家の社稷まで王莽に捧げたことが彼の忠誠だ。


 兄の仇に膝を屈した劉秀は河北で力を蓄えようとして――王朗の挙兵で酷い目にあってしまう。100万の大軍を撃破した劉秀が、その後これだけの苦労を強いられるとは人生とは恐ろしいものだ。
 白起のように多くの兵を生き埋めにして天罰を受けてもしかたがない立場になったわけでもないのにな。

 劉秀の伝説をいろどる昆陽の戦いは敵に堂々と姿を見せながらの“奇襲”が可能であることを示していた。奇襲とは本質的に、視覚の虚を衝くとは限らず心の虚を衝くものであるから、そんなことも可能なのだ。

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草原の風 - 中巻
草原の風 - 中巻
カテゴリ:時代・歴史小説 | 19:03 | comments(0) | trackbacks(0)

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