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草原の風・下 光武帝

 禹は何回負ければ気がすむのか。むしろ何回負けても使い続ける劉秀の方が凄いのかもしれない。負けても敵の追撃を逃れて、生き延びるセンスを持っていたことも間違いない。負け上手、だったのかな?

 それに比べて馮異や呉漢はひたすら輝いている――大樹将軍は禹に巻き込まれて一回負けてしまったけれど。あの馮異すら敗走にひきこんだなんてマジ凄い!雲台二十八将の筆頭に収まるだけのことはある。
 まぁ、推挙の能力だけで数々の敗北のお釣りがくるのも確か。常に負けていたわけではないのだし、禹の負けは持ちネタみたいなものだ。さもなければ敵と共謀した人口調整か。

 劉邦が天下平定後に苛烈な粛清を行ったことを考えれば、劉秀が功臣を粛清せずに済んだことは驚嘆に値する。功臣の方も疑心暗鬼に駆られても不思議はなかったわけで……蕭何に寇恂をなぞらえたエピソードはあったな。
 土地を与えても官は与えないあたり、江戸幕府の外様大名の扱いを彷彿とさせるところがある。

 あと、公孫述の記述が物足りない。興味がある人物なので、もっと描いてほしかった。皇帝の位に登るにあたって瑞兆を得ている点で、予言書に記されていただけの劉秀と対比されている点はおもしろい。
 光武帝は人の中に生まれた神ではなく、人の中の人として、至高の位に至った人物なのだ。

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草原の風 - (下)
草原の風 - (下)
207Pの「ほんとうの批判とは、相手の欠点、短所を挙げつらねることではない。相手にまさることだ」は名言。
カテゴリ:時代・歴史小説 | 12:40 | comments(0) | trackbacks(0)

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