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鳥瞰イラストでよみがえる日本の名城 西ヶ谷恭弘・荻原一青

 まず、城の魅力に取り憑かれ、空襲や台風ですべてを失ってもなお城の鳥瞰イラストを描き続けた荻原一青氏の経歴に圧倒される。ドン底からやり直して、後世にここまでの作品を残せるのだと勇気づけられた。
 そんなイラストと貴重な歴史的史料である正保城絵図によって、生きていた時代の城の姿を浮き彫りにする本である。文章は少なめで、イラストの鑑賞に落ち着いて時間を掛けられる構成だ。

 史料の傾向から実戦に供されていた時代よりも、政治的な存在感の大きかった江戸時代の姿に重点が置かれていて、個人的に新鮮だった。
 城主の変遷が激しい城が思いのほか多く、停滞していたイメージのある江戸時代にも、ちゃんと動きがあったことが分かる。
 それにしても、城主の履歴に松平氏が入ってくることが多い……改易のリスクが少なめになるし、無理もないことか。譜代の本多氏や酒井氏も、かなり多く顔を覗かせていた。彦根城で固定したイメージのある井伊氏の方が特殊な例なのであろう。

 石高と城の規模が必ずしも釣り合うとは限らず、数万石でも壮麗な城を持っている領主が多かったことに驚いた。特に天下普請が関わってくると石高から城の規模を想定することは不可能に近くなる。
 ただ、維持管理コストの問題は小領主に重くのしかかっていたようで、幕府に気兼ねして館にしていた島津氏の方が、かえって恵まれていた気もしてくるから皮肉だ。

 築城の経緯にたびたび名前の出てくる藤堂高虎の存在感が凄い。近世城郭の父と呼んでも差し支えあるまい。本書だと築城家の二番手は池田輝政だという印象を受けた。加藤清正は豊臣恩顧ゆえに、関わっていても総指揮を取るような立場になれないことが惜しまれる。

 天守が失われた経緯には落雷が多くて、最高点を占める建築物の宿命を感じた。

日本の名城 ― 鳥瞰イラストでよみがえる ―
日本の名城 ― 鳥瞰イラストでよみがえる ―
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