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十字軍物語3 塩野七生 新潮社

 これはアンチフランス王のステマですか?
 フランス王への心証が悪化するエピソードに事欠かないのが十字軍であると認識してしまう内容だ。まずはフィリップ・オーギュストがリチャードの足を引っ張りまくり、聖王ルイは余計な敗戦を繰り返す。そして、トドメはテンプル騎士団を壊滅に追い込んだフィリップ美男王のやり口である。
 その後もオスマン帝国と同盟を結んでいたりするし、フランス王はヨーロッパの問題児だなぁ。少なくとも塩野先生の筆に掛かれば、そのように見える。

 いっぽうリチャード獅子心王とフリードリヒ2世は、高い評価を受けていた。同時代での評価には大きな差があった二人だが、和戦両用の構えで成果をあげたことでは共通している(フリードリヒは実際に武力衝突を起こさなかったとはいえ)。聖王ルイのように一方から一方に偏って惨憺たる結果に終わった人物とは大違いだ。

 まぁ、フランス王でも聖地に足を踏み入れて我が身を危険に晒しているだけ、ローマ法王よりマシ。
 あれだけ口出しするなら実際に十字軍国家まで足を延ばして来いと言いたくなってしまう。それができない立場なら大人しくしていればいいのに……あぁ、アヴィニョンには足を延ばしていましたね。ニヤニヤ。

 王侯に問題児は多かったものの、最後まで聖地にとどまった騎士団の構成員は多くがフランス人だったことも事実。
 膨大な人口を抱える西欧の大国がカトリック勢力のエネルギー源であったことも良く分かる本なのであった。

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十字軍物語〈3〉
十字軍物語〈3〉
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