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覇者の戦塵1944〜サイパン邀撃戦・上 谷甲州

 迎撃じゃなくて、邀撃(要撃)と書いているところがポイントだな。すなわち描かれている戦闘は本質的に押っ取り刀の出撃ではなく、通信諜報活動により敵の動きを読み切っての待ち伏せ攻撃なのだ。海を割って飛び出す海坊主は蓮美大佐の顔をしているに違いない。
 世界最強さんは御愁傷様。

 アメリカ海軍の水上部隊は本当に憐れだった。二度目の大改装を受けてミサイル巡洋艦と化した大井と北上に叩かれまくり、サウスダコタ級戦艦に至っては後ろからなぶり殺しにされてしまう。
 あんな負け方だけはしたくないものだと、米兵の気持ちを思って涙がこぼれそうになった。確か作中でも以前に言われていたが、全部に主砲を集中した大峰の特性は操る側にも肉薄戦を強いるところがある。ネルソン級やダンケルク級はどうだったかな……。

 最初の空中雷撃が成功した背景には禰式翔龍と旧式翔龍を混ぜて放った効果があったと感じられた。目につきやすい旧式を狙ってしまったせいで、危険度の高い禰式をカバーできなかった印象がある。赤外線追尾式とレーダー誘導式のミサイルを同時に放つ運用に微妙に近いか?

 米艦隊のやらかした失敗が、ソロモン海海戦で霧島がやった三式弾で敵戦艦を撃っちゃった例を踏襲しているな。しかも、やった側がやられた側だったサウスダコタ級という倒錯ぶりだ。
 ただし、アメリカ戦艦が最初から鉄甲弾を撃っていたら絶対に勝てたとは言い切れない。日本側の電子戦能力が史実よりも格段に向上していて欺瞞すら行えるレベルに達していたからだ。
 あと、大峰の装甲が巡洋艦並みだったせいで、せっかく変えた鉄甲弾の効果がいまいちだった件については……やっぱり世界最強さんは御愁傷様。

 最後は潜水母艦らしき伊54がメジュロ環礁近くに浮上するシーンで終わる。晴嵐を使うと見せかけて、超遠距離空中雷撃をするのではないか。伊400を超える戦略原潜の始祖っぷりを見せると妄想する。

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覇者の戦塵1944 - サイパン邀撃戦 上 (C・NOVELS)
覇者の戦塵1944 - サイパン邀撃戦 上 (C・NOVELS)
カテゴリ:架空戦記小説 | 22:01 | comments(0) | trackbacks(0)

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