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カエサル「ガリア戦記」歴史を刻む剣とペン 高橋宏幸

 カエサルの凄さを改めて思い知らされた。現実に起こったことを語りながら、こんなにもテーマ性をもたせて物語っていたなんて……彼の文才が将軍や政治家としての能力とは別に存在するわけではなく、不可欠な能力であったと説明されている点には才能なき人間として少しだけ慰められた。
 カエサルの前に執政官になった中にも弁論術で知られた人物がいて、キケロも評価しているわけで「説得力」が大切なことが良く分かる。

 ともかくキケロの存在感が大きい。同時代人であり、多くの信頼に値する文章を残しているおかげで、カエサルを本人が語るのとは別方向から観察して、立体像を描きだすために多大な貢献をしている。
 弟がカエサルの遠征に同行して、この本でも何度も取り上げられる活躍をしている点にも宿縁を感じてしまうのだった。言葉と事柄の「装い」の解説で彼がいかに考えて語り、書いていたかが分かって、その理解に時間の掛かる自分の頭脳に絶望した。

 ガリアでの戦役自体の解説では、自分が読んでいて内心で突っ込んだ――解説文に影響されただけで、それを自分が考えたと勘違いしているだけかもしれないが――ところが多く取り上げられていて興味深かった。
 アリオウィストスの説得力に頷いていちゃ駄目なんだなぁ。行動と言葉が――実は逆の働きをしていたとしても――調和していないと一流とは言えない。

 簡潔で娯楽作品としても読めるガリア戦記の奥深さを確認できる本だった。今度、読みかえすときはもっと考えよう。


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言及されていたナポレオンのガリア戦記研究本が気になる!噂のアレシアに展開した実際の兵力が載っている本なのかな。
カテゴリ:歴史 | 00:14 | comments(0) | trackbacks(0)

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