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始皇帝の地下帝国 鶴間和幸

 中国でのフィールドワークを盛んに行なっている著者による秦帝国の15年を描いた本。始皇帝陵を中心にすえて、二世皇帝の仕事をもっと評価すべきと論じている。
 まぁ、趙高はともかく李斯がついていたわけで、セネカがいた時代のネロ帝くらいは評価されてもバチは当たらない気がしないでもない。
 二世皇帝陵と伝えられる小山の粗末なことには泣けた。いくらなんでも扱いの落差がひどい。

 内容は胡亥の具体的な評価には突き進まず、秦にまつわる様々な話題をつっこんで紹介している。専門的なこともわかりやすく説明しているので、得るものが多かった。著者の興味が幅広いことも伝わってきた。

 五角形型の水道管がやけに記憶に残る。黄土の性質に適した構造には関心しきりだった。黄土から多くのものを得ている点は、泥と葦と水だけの世界から多くを得ているメソポタミア文明に通じるものがある気がする。

 中国の歴史研究家たちが自分たちの時代に全てを明らかにしたいと焦らず、始皇帝陵の未発掘の部分は後世にたくそうと考えているらしい点が印象深い。
 個人的には、そこにあると分かっているなら生きている内に知りたい気持ちが抑えきれないのだが、歴史観や社会観の違いだろうか。
 発掘関係の技術も日々進歩しているわけで、地下深くの理想的な状態に保存をまかせて、着実に歩んでいくべきなのかもしれない。

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