<< のうりん6巻 白鳥士郎 | main | 図説「史記」の世界 山口直樹・写真・編/益満義裕・文 >>

大陸別世界歴史地図2〜アジア大陸歴史地図

 日本語版序文によれば面積でヨーロッパの約4倍、人口でヨーロッパの約5倍に達するアジア地域の歴史地図。ハッキリ言って中国とインド、中東、その他がそれぞれヨーロッパ並みの歴史を持っているので、一冊でまとめてしまうことには無理がある。
 説明にも時代の前後が多くて、それぞれの地域を把握するためには、飛ばし飛ばしに読んだ方がいい感じだった。
 日本が周囲に影響を与えはじめるのは急速な西欧化を遂げてからに近いが――倭寇や秀吉の朝鮮出兵はあるとはいえ――その割に古くからのデータが載せられている印象だった。豊富な記録が残っているだけではなく、アジア大陸の「東の果て」として文明の進捗状況を見るのに適しているせいもあるのかもしれない。
 でも、源平合戦の地図と大化の改新を説明する文章がまったく合っていないのだ……源平の戦いについては説明もないし、どういうことなのか?それと、平氏・義仲・頼朝の勢力図が他で見たものと違っている気がした。
 中国の戦国時代の地図も、韓と魏の国境が入り組んだ形になっていない。欧米人の感覚では解釈できないのか――私の感覚でもあれは解釈できないけど。

 イスラムの発生してからの存在感には劇的なものがあり、アジア大陸の西半分を長い時代にわたってリードし続けていた。インドもムガール帝国が大きな足跡を残しているわけで――東南アジアへのイスラム教伝播の説明がなかった点がちょっと物足りない。それはともかく、インドの歴史地図は目に新鮮で楽しい。
 中国も流石の存在感で、安定して説明が続けられていた。アヘン戦争周りの話にはさすがに気の毒になる。南京虐殺はこの本では20万人と説明されている。

 オスマン帝国の発展を説明した次のページで衰退を説明しているのと、日本の勢力拡張と戦線の後退を裏表でやっていることが描き方として似ていて興味深い(台湾が1945年までに陥落したように見える地図はいかがなものかと思うが)。
 これが欧米諸国の説明だと、植民地側の独立が強調されて、勢力の後退が印象付けられることを避けている気がする。あまりに世界的に散らばりすぎて、まとまった形で国境を描きにくいせいもあるのかもしれないが。

 ヒッタイト帝国が「戦闘が比較的残虐に走らなかった」「刑罰が賠償が強かった」「宗教的に寛容だったと思われる」などと説明されていて印象を改めた。アッシリアよりペルシアに近い統治をしていたようだ。

 あと、横に載っているアレクサンドロスとチンギス・ハーンの名言が酷かった。
アレクサンドロス「他者から征服を受けぬという究極の目的のために征服を行っているのである」
チンギス・ハーン「幸福は、じぶんの敵を眼前から駆逐し、財産を奪い、その絶望を賞味する中にある」
 お前ら、黙っとれ。

アジア大陸歴史地図 (大陸別世界歴史地図)
アジア大陸歴史地図 (大陸別世界歴史地図)
カテゴリ:歴史 | 00:46 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 00:46 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/1879
トラックバック