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読んで役立つ中国史55話 山口修

 長すぎるうえに漢字の用語がたくさん出て来てわかりにくい。そんな中国史の理解にとっかかりを与えることを目的とした軽めの一冊。
 様々な視点から中国のことが語られていて、勉強になると共に作者の博識に驚く。まぁ、ちょっと怪しいところもあって、ボウを得て蜀を望むの故事が、司馬懿のことをされてしまっている。最初の出処は劉秀であり、三国時代は曹操が使ってるはずなので、認識を疑ってしまった。ひとつが怪しいと全部が怪しく見えてくる。全部の正誤が分かるなら読む必要がない。困ったものだ。
 とはいえ、現在の日本でも使われている言葉の出典が次々と分かっていくことは興味深く、快感だった。

 周辺民族に虫偏や獣偏がつく字を当てることが多いのに、倭は珍しく人偏をつかっている指摘にはハッとした。でも、奴国や邪馬台国には「奴」や「邪」が入っているので怪しいものだ。名前を呼ぶだけで悪口にならないおかげで“日本鬼子”が生まれたと考えるとニヤニヤしてしまう。

 最後に中国の歴史教科書で日本がどんな描かれ方をしているかが紹介されていた。1997年の本なので現状では大きく変わっているのかもしれないが、隣国であるにしては扱いが小さい模様。
 ベトナムは昔は載っていたものが削除されてしまう流れがあったらしい。発展しているのは中国だけではないから、欧米やアフリカにばかり目を向けていると、不都合なことになると思うのだが……きっと現在の状況は違っているのだろうが、当時の教科書で勉強した人が気になる。

 あと、江戸時代に明が女真族と戦うために日本に出兵を求めた逸話が気になった。歴史IFの恰好の材料だ。秀吉の時代には不幸な関係にあったわけで、よっぽど切羽詰まっていたんだろうな――実際、滅ぼされているから納得してしまう。

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読んで役立つ中国史55話
読んで役立つ中国史55話
カテゴリ:架空戦記小説 | 23:54 | comments(1) | trackbacks(0)

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コメント
>江戸時代に明が女真族と戦うために日本に出兵を求めた逸話が気になった。歴史IFの恰好の材料だ。

徳川光圀を総大将にして明に出兵する「黄土の夢」という歴史IF小説が既にあったりします。
| 閑寝 | 2013/06/15 12:28 AM |
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