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よみがえる中国の兵法 湯浅邦弘

 孫子を筆頭とする中国の兵法について学術的な視点からまとめられた一冊。銀雀山漢墓竹簡の発見によって進展した兵法書の研究を反映している。
 どうしても孫子が強いところはあるが、他の兵法書についても、それなりにページを割いて専門的な解説をしてくれている。

 個人的には読んだことのない尉繚子や司馬法が興味深かった。孫ピン兵法は孫子と重ならない部分は詳細に入り込みすぎなので、ページが足りない印象。ひとつだけ春秋戦国時代から離れた李衛公問対の解説もある。
 司馬法の文武併用思想が他の兵法書とは大きく異なった思想であることを分かりやすく解説してくれている。
 それぞれの兵法書が生まれた時代的社会的背景や、他の思想とのつながりが述べられていて面白かった。兵法書の全体を載せてくれていない代わりに、生粋の兵法書ではないものから兵法に関する部分を抜き出した解説をしていて、効率よく周辺情報をえることができた。


 最終章の「兵書のことばを読む」は、孫子(と尉繚子)の独壇場になりかかっているが、虎鈴経と淮南子が地味に目立っていた。特別に章を立てて解説されていないのに。
 孫子の「倍すれば之を分かち」を自軍を二分して攻撃するのではなく、敵を各個撃破すると解釈している点が新鮮だった。個人的には、こちらの方が説得力が高いと思う。敵を二分して戦力差を大きくすれば「即ち之を攻め」の五倍に近づく。下手に分散すれば各個撃破される危険を自分たちが犯すことになる。

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よみがえる中国の兵法 (あじあブックス)
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