日本の歴史2 新視点古代史〜日本の原像 平川南
2013.10.09 Wednesday | by sanasen
文献史料よりも発掘品にやや比重をおいて古代日本の姿を描き出している一冊。塩野七生が古代ローマ史研究について、そういう動きがあると繰り返し述べていたのを思い出した。
歴史は異なっていても歴史研究のトレンドは似通ってくるということか。
多岐にわたるトピックを扱っているが、中でも稲の品種に関する研究がおもしろかった。品種名のひとつ、畦越が印象的すぎて、食べてみたくなった。
でも、品種名の解釈を読むと、頑丈さや元気さを願った名前はあっても、美味しさを願った名前はないんだよね……古代の人が稲に求めていたものが分かる。
稲の品種が大別して三つあって、植え付けと収穫の時期が異なっていたことも興味深い。国家による強制貸し出しと利子の徴収は考えついた人間が名案だと思っていそうで恐ろしかった。国家そのものが悪徳地主になっているみたいなものでは……。
荘園を通じて文化が意外と早く地方に伝播していたことも、稲の品種研究から分かるのだから面白い。
他には東国と西国では、国名の命名基準が違うという説明がためになった。越の国が西国の基準になっているのは、ヒスイを通じて昔からの結びつきがあったからかな。
名前一つからも歴史や政府の意図を考えさせられる。政治的な記述も多少あったが、読んでて目を開かされることの多い、タイトルにたがわぬ本だった。
日本の原像 (全集 日本の歴史 2)
歴史は異なっていても歴史研究のトレンドは似通ってくるということか。
多岐にわたるトピックを扱っているが、中でも稲の品種に関する研究がおもしろかった。品種名のひとつ、畦越が印象的すぎて、食べてみたくなった。
でも、品種名の解釈を読むと、頑丈さや元気さを願った名前はあっても、美味しさを願った名前はないんだよね……古代の人が稲に求めていたものが分かる。
稲の品種が大別して三つあって、植え付けと収穫の時期が異なっていたことも興味深い。国家による強制貸し出しと利子の徴収は考えついた人間が名案だと思っていそうで恐ろしかった。国家そのものが悪徳地主になっているみたいなものでは……。
荘園を通じて文化が意外と早く地方に伝播していたことも、稲の品種研究から分かるのだから面白い。
他には東国と西国では、国名の命名基準が違うという説明がためになった。越の国が西国の基準になっているのは、ヒスイを通じて昔からの結びつきがあったからかな。
名前一つからも歴史や政府の意図を考えさせられる。政治的な記述も多少あったが、読んでて目を開かされることの多い、タイトルにたがわぬ本だった。
日本の原像 (全集 日本の歴史 2)