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朝鮮三国志〜高句麗・百済・新羅の300年戦争 小和田泰経

 古代朝鮮の三カ国による覇権争いをえがいた本。史料は新羅の王族がずいぶん後になって書いた「三国史記」をメインにして、中国の正史や日本書紀が使われている。冒頭で断られているとおり信頼性には難がありそう。もっとも信頼できそうな中国の正史も彼らにとっては辺境のことを描いているわけで……隋以降に遠征が行われるようになってからは違うのかな?
 その辺りは注意しなければならないが、意外と登場勢力の多い争いが延々と繰り広げられる様相には、非常に興味をそそられた。外交の余地がたいへん大きく、中国の介入一発でパワーバランスが崩れるところが特徴的な歴史をつくっている。

 百済は滅亡寸前まで新羅を追い詰めていたわけで、歴史のちょうつがいは時に思わぬ動きをする。
 弱小の新羅が単独で対抗することになった唐を追い出すことができた点もおもしろい。しかし、文武王の言い訳はかなり酷いので、逆に憎悪を買わなかった事が不思議に思えてしかたがなかった。あそこまでいくと突き抜けて面白かったのかな……。
 支配して見れば朝鮮の地が漢人に取っては「鶏肋」だったことが明らかになったので、放棄できる理由を探していたのかもしれない。一種の共犯関係を想像してみるのも一興である。

 高句麗は強いときは強いのだが――広開土王や長寿王の時代とか――弱いときは何故滅びないのか不思議なくらいの負けっぷりを見せている。前燕には勝てないから喧嘩を売る相手を百済に変えたら返り討ちにあった故国原王にはビックリだ。
 統一されていない中国相手でも押しきれないのに、中国が統一されてしまったら、朝鮮半島情勢は激震せざるを得ない。そんな東アジアの国際環境もみえてくる一冊だった。

 あと、我らが倭はイイ感じにちょっかいを掛けまくっている。なんとか大陸に地歩を築きたい政治家の願いが感じられる存在感だった。

朝鮮三国志 高句麗・百済・新羅の300年戦争 (Truth In History)
朝鮮三国志 高句麗・百済・新羅の300年戦争 (Truth In History)
 現代の政治に触れず、歴史叙述に専念しているところも好感が持てる。
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