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慶長疾風録1〜前田慶次郎、関ヶ原に出陣す 伊藤浩士

 水風呂逐電のすえに、まつの口添えで前田家に出戻った慶次郎が西軍の実質的な大将となって徳川家康と戦う歴史シミュレーション。
 この著者、慶次郎が好きである。単純に著名なかぶき者として好きというより文化に理解があって、和歌を詠ませることができるから好きなのだと想像がつく。今川氏真に天下を取らせられるのは伊藤浩士先生しかいない!!
 十万石をえた慶次郎の重みによって、前田家はまつを人質に出さずに済み、前田利長が西軍の総大将として淀殿に認めれた。これで毛利が全力で味方に付けば圧倒的な西軍の優位なのだが、そこはバランス良く輝元が機嫌を損ねて日和見に走る展開となった。
 なんという小者……まぁ、祖父の遺言を守っているとは言えるかな。

 合戦は家康が無類の強さを見せるものの慶次郎が熱心に育てた五千の兵を率いて搦め手からの活躍を示し、西軍が押しまくっている。家康のいないところで勝利して、戦略的な勝利につなげていく方法が項羽やハンニバルの倒し方に近い。家康が自分の強さを頼りにすればするほど、罠に掛かりやすくなるが、連敗によって頼りにするべき武将たちが力を失ってしまっているので、よけいに前に出ざるを得なくなる悪循環。えらい状態に陥ったものだ。

 あと、直江兼続が失策ばかりしている。家康を刺激して戦端を開かせるのも、寿命のことを考えれば妥当な判断とは思えない。見事な足の引っ張りようである。
 本庄繁長の件と塙団右衛門の件は似た現象でも描き方で印象の変わることを端的に示していた。そもそも、慶次郎が集団戦を守らない人間を首にしているので、塙団右衛門を素直には支持できない。
 同僚にできても部下にはできない。そんな存在である。

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慶長疾風録〈1〉前田慶次郎、関ヶ原に出陣す (歴史群像新書)
慶長疾風録〈1〉前田慶次郎、関ヶ原に出陣す (歴史群像新書)
カテゴリ:時代・歴史小説 | 00:13 | comments(0) | trackbacks(0)

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