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関ヶ原六文銭記1〜昌幸の野望 神尾秀

 わずか三万八千石の大名にすぎない真田昌幸だが、天下への野心はくすぶり続けることを止めず、朝鮮に出兵した秀吉の政権に謀略で挑むことを決断する。

 大阪城乗っ取りは見事というか、豊臣側の油断が酷かったが、圧倒的な兵力差のあるここからの展開が問題だ。
 徳川家康や伊達政宗など状況をひっかき回してくれそうな役者も、肥前名護屋城で監視を受けている。おかげで兵力的な空白状態が生まれているのも確かだが、秀吉が大名たちをまとめて反撃に出れば、真田の天下は風前の灯火。
 まぁ、そこで豊臣側が兵力の逐次投入になる選択をとってくれたので、三万対一万数千の緒戦に勝ってしまえば形勢が更に変わるはず。黒田如水は本当に秀吉を勝たせる策を立てているのか、暗に敗北を期待して足を引っ張っているのか、怪しいところがある。
 昌幸と協力していたら、さしもの秀吉も滅亡を免れないだろう。

 信繁(幸村とは表記されていない!)が父に愛されていて、信幸は無視されがちという話には切なくなった。お兄ちゃんが寂しくて早死にしてしまう……人材の少ない真田側にとっては貴重な駒だと思うので、徳川絡みでなんらかの役割が与えられていることを願う。
 他の見所としては四兄弟一の地味武将、島津歳久が活躍している。あと、長政四天王の六人目である木造長政も。

関ヶ原六文銭記〈1〉昌幸の野望 (歴史群像新書)
関ヶ原六文銭記〈1〉昌幸の野望 (歴史群像新書)
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