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旭日の鉄十字〜戦艦ビスマルク出撃 三木原慧一

 ドイツ水上艦艇の連合艦隊への譲渡という常軌を逸したヒトラーの決断から始まる日独英米の思惑が入り乱れる変態的な戦い。ジャンケン理論を知っていれば、いくら使いにくくて燃料を消費するからといって、水上艦艇を日本にまとめて譲り渡すなど考えられないのだが、ひらめきで行動するヒトラーはやってしまうから怖い。敵が潜水艦しかいないと確信をもって行動できるなら、イギリス海軍は余裕を持って行動することができるだろう。その余力はけっきょく日本に振り向けられるわけで……ドイツにとって損なのか得なのか良くわからなくなってきた。待ておちつけ。これはヒトラーの罠だ。
 規格の都合を考えれば日本が苦労することは間違いない。仕様をあわせるために技術が進歩する側面もあるかもしれないが。

 ビスマルクの性能について三連装砲塔三基とする記述があって、架空戦記にありがちな仕様変更だと予想したのだが、イラスト説明では比較的普通の連装砲塔四基仕様になっている。単なる記述違いかな。
 大砲があれならば三連装砲塔三基タイプのビスマルクも見てみたいものだ。戦力的には戦艦以上にこの世界には存在している正規空母二隻と改装空母一隻の譲渡が効いてきそうだが。

 ヒトラーが狼の巣にいながらにして現場の戦況を把握している様子はーー三木原先生の他の作品にも頻出することだがーー現代的な統帥のオマージュであることに気付いた。オバマ大統領がビンラディン殺害作戦をリアルタイムで観ていたらしいことを連想する。
 リーマンショックと大恐慌を引っかけた皮肉については、流石という他はない。メイドスキーは面白いとか、つまらないとかじゃなくて、この作者だから出してくる印象。まぁ、一度だけしか名前が出てこなかったからセーブしているのかな?

 欧州大戦で日本陸軍の問題児をまとめて葬っているのは大胆だ。要人を選択的に抹殺して歴史を変えてしまうなんて、発想がまるっきりテロだなぁ……架空戦記に言ってもしょうがないことか。

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戦艦ビスマルク出撃―旭日の鉄十字 (C・NOVELS)
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