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湖底の城〜呉越春秋4巻 宮城谷昌光

 ついに爽やか伍子胥さんが公子光を呉王に登らせる時が来た。歴史上に有名な暗殺事件だけに描写が気になって気になって気になって……流石だった。
 王位争いにおいても伍子胥の働きは爽やかで、できるだけ恨みが募らないように振舞っている。恨みの恐ろしさを身をもって体験している伍子胥だからこそ、あんなに爽やかな行動をとることができる。そんな受け取り方もありだ。

 王位継承者が常に注目せざるを得なかった季子の動きも興味深い。
 まるで戦国四君のはしりみたいな存在感。鄭のマザコンを最初の覇者だと言っていた作者だから、何かしら意識しているところはあるのかもしれない。
 太子光あらため闔閭への対応がソフトなのは、自分が王位を継いでいれば起こらなかったという自責の念があるからかもしれない。呉の民にもそういう意識が生じてよさそうなものだが、ひたすら尊崇を受けているところが凄い。
 王として勤めあげるよりも難易度高いんじゃないか?実際、どっちが苦労する結果になったことかと皮肉な考えを弄んでしまう。

 内乱前から楚との激突が本格化しはじめていて、大兵力の激突を楽しむことができた。囚人の使い方がいかにも南方の国らしい。敵に捕まらず、呉軍からも逃れて自由をえた幸運な囚人も少しはいたのかな。
 ついついちょっとした人物の将来にまで想いを馳せてしまう作風である。主人公が常にそういう姿勢なので。

 あと、とても読みやすいことを再確認。すらすら読めるのに中身がしっかり詰まっているから不思議だ。栄養価満点のメレンゲみたいな不思議な文章だ。

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呉越春秋 湖底の城 第四巻
呉越春秋 湖底の城 第四巻
カテゴリ:時代・歴史小説 | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0)

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