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風は山河より5巻 宮城谷昌光

 これから毎日寺焼こうぜ!
 まさに鬼畜の武田軍。三河の寺に次々と放火しながら野田城に迫ってくる。信長も酷いが、それに対抗する存在で仏教を利用しているはずの武田信玄が兵士の勝手を許しているのは如何なものか。甲斐や信濃出身の兵士がモラルに乏しいとしても、彼らを教化していかなければ京都は維持できないーー木曽義仲に例えているのには納得した。

 クライマックスとなる野田城の攻防戦は最終的に城を明け渡してしまった点で長篠城よりもさっぱりしない。山家三方衆との関連で上手いこと誇りを保てているのは興味深いが。
 城主も人質交換の道具になるのだから、いつからか流行した城主切腹での城兵助命は、慈悲があるように見えて助かる人間を減らす行為にも感じられるなぁ。
 ともかく間に挟まれた弱小勢力が人質を次々に失っていく悲哀に満ちた作品だった。意地を通せば一族郎党が滅びかねないわけで、上手く立ち回って行くだけでも非常に難しい。
 妻子兄弟を人質にする辛さがあるかと思えば、彼らに裏切られて殺し合う危険もあるわけで、人の心が荒涼とせざるをえない恐ろしい時代だ。

 それでも野田菅沼家の心象には爽やかな三河の山河があって、新しい風を時代に吹き込んでいる。武田氏の時代から徳川氏の時代へ、中間の位置にある菅沼氏が橋渡しをしたと考えてみるのも面白い。

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風は山河より〈第5巻〉
風は山河より〈第5巻〉
カテゴリ:時代・歴史小説 | 12:57 | comments(0) | trackbacks(0)

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