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帝国海軍ガルダ島狩竜隊 林譲治

 ふー、びっくりした。ある意味林譲治の集大成的な作品。ネタとして得意中の得意とする帝国海軍に、志であるSF志向の強く現れた最新物理学論を混ぜ、おまけとして古生物学に大きな力を割いている。これこそ、林先生にしか書けないような話かもしれない。
 最後の妙な落ち方で、ボケ老人のほら話ちっくになってしまうところも含めて。

 第369海軍設営隊は孤立し、ひょんなことから恐竜の存在する世界への入り口を見つけてしまう。「食糧」確保はできるのか、そもそもこの世界の謎は何なのか、質問の順番で大事な話だ。
 そもそもガルダ島の由来は神鳥ガルーダなのだろうから、徹頭徹尾鳥と縁があったわけ。林先生は恐竜を鳥グループに含めて考えているようだけど、ティラノサウルスなどは鳥から恐竜になったといい得る様で、そのあたりの進化が錯綜しているのは事実だろう。そもそもの起源をさかのぼれば、どの状態が鳥になったといえるのかという問題だ。
 空を飛ぶ能力の獲得は簡単そうにみえないようで、形質的には案外でやすいようでもあり、まぁ中生代は長かったということか。

 何かを投げると必ず敵に損害を与える今野軍医少尉の主犯によって鳥人間クワックゥは絶滅するが、そうでなくても白亜紀末の大量絶滅を乗り切れたかは疑問。多少の知恵はあっても個体数が少なすぎるから最後は運になってしまう。生き残れたとしてもあの生態では食糧不足を招きかねないし――せめて雑食ならいいのだが、農業に目覚めなければ行き詰まったのではないか。

 話の流れで少しだけ紐理論に親しめた。用語だけでも、こういうところで素養をえられるのは意外とためになる経験だ。

帝国海軍ガルダ島狩竜隊
帝国海軍ガルダ島狩竜隊
林 譲治
カテゴリ:SF | 18:38 | comments(0) | trackbacks(0)

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