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歴史群像シリーズ78 争覇春秋戦国〜五覇七雄、興亡の五百年

 春秋戦国時代をあつかった学研の歴史群像シリーズ。五百年を一冊にまとめるのは流石に圧縮率が高すぎたようで、満足の行く深度に達してくれている記事は期待したより少なかった。だが、その一部の記事を多くの読者に理解してもらうためには、当たり前に近い春秋戦国時代の概説も必要になる。しかたがない。

 一部の執筆者がなかなかの曲者で、定説になっていないことを堂々を言い切るから注意が必要だ。特に孔子に対する評価が偏見にまみれていて酷かった。天子になることを夢想したペテン師あつかいである。そこまで言うか?
 ある程度の真実があったにしても貴重な史料を提供してくれている相手なのだから、感謝を忘れないようにしたい。
 まぁ、他の著者にも厳しく言われる傾向があるので、この本だけで孔子のイメージを固められると儒教には厳しいことになりそうだ。
 あと、始皇帝を呂不韋の息子と断定してストーリーを作っている記事にも注意してほしい。独裁者の心理を描く「話」としては良く出来ているが……。

 おおよその戦史紹介以外には、諸子百家の紹介や人物伝などが基本的な構成で、カラーページに決定的な戦闘の記事と、巻末に学術的にも突っ込んだ記事があった。
 城濮の戦い解説で、楚軍が晋軍より多かったと言い切っている点が謎だった。状況を考えれば劣勢の可能性が高いんだが……しかも、著者の他の記事では晋を優勢と判定していたような?何か意見の変わる発見があったのかな?
 巻末では鉄と塩と経済に関わる話が興味深い。秦が勝利したので円形の銭ですんなり統一されたけれど、他の国が勝っていたら刀や鍬や貝の形をした銭で統一されたのかな?結局どこかで円形に変わりそうな気もする。

 商鞅が秦に与えられた領土の兵をひきいて秦と戦ったという記述も気になった(おそらく、そこまで出来ずに処刑されたのが痛切だが)。魏ゼンも函谷関の東に多くの封地をもっていたし、孟嘗君は薛の主である。戦国時代に入っても国の数が減るばかりだったとは言い切れないようだ。

争覇春秋戦国―五覇七雄、興亡の五百年 (歴史群像シリーズ (78))
争覇春秋戦国―五覇七雄、興亡の五百年 (歴史群像シリーズ (78))
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