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遠き曙光1巻

 かつて横山信義が大艦巨砲バカSFでデビューしたことをいったい誰が覚えていよう。
 と思ってしまった航空主兵バリバリの架空戦記小説。柱島奇襲による連合艦隊壊滅ではじめるとはずいぶん煮詰まっている。さすがに無理じゃないかな?まぁ、真珠湾奇襲失敗による第一航空艦隊壊滅を描いたお方だ。これくらいは許容範囲か。
 アメリカ側の奇襲によってスタートする話では、日本の同盟国となったハワイ王国の真珠湾が奇襲攻撃を受けて開戦という佐藤大輔のボードゲーム、ニイタカヤマノボレがいちばん飛んでいる印象がある。あの世界はアラスカまで日本が購入していたし、力関係が傾きすぎなのだが。

 遠き曙光に話を戻すと、くどい繰り返し表現が目に付いたものの相撲や歴史に例えた横山氏独自の表現はやや受け。これはこれでよい。とくに台湾とアメリカ機動艦隊の航空戦描写は悪くなかった。林譲治を読みすぎると無駄が多い戦闘に思えるが、これが正常なのだ。
 開戦初期だけに水平爆撃が多用されているのもおもしろい。まだまだ対空射撃や防空迎撃に研究の余地が残っているからできることだけど、戦訓を取り入れるのは痛撃を受けた日本海軍のほうが早そうだ。なによりも役に立たない戦艦7隻の損害ですんで、虎の子の空母部隊が無傷なのは大きい。心理的な衝撃は大きいかもしれないが、実害は大したことないのだ。
 むしろ米軍は何をやってんの、といいたいところだが、オーストラリアとニュージーランドの脱落という超異常事態――林氏、焦熱の波濤では目的であった――を受けながらもフィリピンを守りたいと欲を出してしまったのがいけない。これから守りようがないフィリピンのために多数の艦艇を犠牲にしていくかと思うと、米軍も憐れだ。
 資源へのアクセスを絶たれた日本と泥沼の消耗戦が予想されるアメリカのどちらが先に力尽きるだろうか。注目だ。

遠き曙光 1 - 柱島炎上
遠き曙光 1 - 柱島炎上
横山 信義
カテゴリ:架空戦記小説 | 12:16 | comments(0) | trackbacks(0)

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