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クセノポーンの馬術・ポダイスキー ヨーロッパ馬術小史 荒木雄豪・編

 アナバシスを書いたことで有名な古代ギリシアの作家、クセノポーン(クセノフォンとも)が祖国アテナイの騎兵隊を改善するために書いた馬術と騎兵隊長についての本。
 五十年前に田中秀央・吉田一次両氏に翻訳されたものを編者が見直していろいろな部分を改めている。また、フランス語版、ドイツ語版、英語版を入手して興味深いと思われる注を熱心に取り入れている。
 おかげでなかなかボリューム感のある一冊に仕上がっていた。後半にはオーストリアのウイーンにあるスペイン馬術学校(スペイン種の馬を使うことから、こんなややこしい名前になったらしい)に残る古典馬術の流れをクセノポーンから辿っていく、ポダイスキー氏のヨーロッパ馬術小史(南大路謙一・訳)も収録されている。思わぬところでエウメネスの名前が出てきて驚いた。ノラの要塞に立てこもっているときに二本の柱を用いて馬の訓練を行っていたらしい。

 クセノポーンの馬術については、蹄鉄と鐙がなかった時代に特有の要素が興味深い。蹄を鍛えるために小石の上で待機させたり、着地の際の姿勢が変わってきたり。
 また、馬に対する姿勢が自然にもっている素養を無理なく伸ばしてやる方向で一貫している点も印象に残った。子育ての極意も近いところにあると思いたいのだが、すべての親に馬の世話を体験させるのは無理か……クセノポーンの馬術を復興するはずのヨーロッパの馬術においても酷く乱暴で馬を駄目にしてしまう指導方法を主張する人物がいたのはポダイスキーのヨーロッパ馬術小史が物語る通り。
 難しいものだ。

 騎兵隊を養うための費用が上げられている点も参考になった。アテナイは650の騎兵を維持するのに年間40タレントになったそう(騎士の日給は1ドラクマ)。昭和19年なら約95000円相当と古い物価があげられていて、ややこしいのは元訳が古い関係でしかたがない。

クセノポーンの馬術―ヨーロッパ馬術小史
クセノポーンの馬術―ヨーロッパ馬術小史
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