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フィールドワーク関ヶ原合戦 藤井尚夫

 なぜか真ん中に賤ヶ岳の戦いの分析が挟まれている関ヶ原の合戦に関する本。賤ヶ岳の戦いより前は関ヶ原で行われた戦いがメインで、後の方は関東方面の駆け引きがメインになっている。
 タイトルの通りフィールドワークによって合戦の遺構を発見して、考察の取っ掛かりとする方法論が光る。また、戦場の様子をリアリティたっぷりに描いた俯瞰図に見応えがあった。
 イラストレーションは全体的に淡色で、鮮烈さは薄いが、現実の見た目もこんな風だったのではないか。さすがに井伊の赤備えは目立っている。あと、水色の旗が目立つけど位置的に宇喜多隊かな?

 関ヶ原の描写については理路整然としていて、著者の解釈が説得力を持って受け取れた。フィールドワークを重ねたことで培われた自信が文体ににじみ出ている印象がある。
 石田三成は家康の手のひらで踊ったわけではなく、お互いに計算外の連続であったと著者は解釈している。それぞれのある瞬間ごとの選択肢や判断に注意を払っている点も興味深かった。

 また、含まれていることに違和感のある賤ヶ岳の戦いだが、柴田勝家の作戦について新しい解釈を提供していて新鮮だった。秀吉の判断ミスをついて五分の状態まで持って行ったが決定機に思い切りが足らず勝家は勝利を逃したとしている。
 まぁ、佐久間盛政と連携して平地の陣地を挟撃した場合でも成算は五分五分と著者は見積もっているわけで、勝家が躊躇うのも無理はないのか。しかし、いったん引き上げて待てばそれ以上の勝機があると具体的に示せなければ、佐久間盛政を説得できない。歴戦の猛将が土壇場で判断を誤ったのは寂しい――となるから、佐久間盛政に責任を負わせる解釈が江戸時代になって出てきたのかも。

フィールドワーク 関ヶ原合戦
フィールドワーク 関ヶ原合戦
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