<< 戦国の山城 全国山城サミット連絡協議会編 | main | 楽しい古墳案内 太陽の地図帖_023 松本武彦・監修 >>

遊撃戦論 毛沢東・著/藤田敬一 吉田富夫・訳

 毛沢東が日本に対する戦争方法を指導するために書いた「抗日遊撃戦争の戦略問題」と文化戦略について語った「文芸講話」を収録した文庫。あかくなーれ、あかくなーれ、の電波はそんなに出ていないが、日本帝国主義とか日本侵略者とか繰り返し出てくるのは精神に響く。他に「日本人民」があるので日本人を敵に回さないようにするために、あえてそういう言葉を使っているみたいなのだが、肌感覚では自分のことを言われている気分になってしまう。この辺りの情報戦は民族性にも根ざしているので難しい。

 遊撃戦論については、小さくて大きな国が、大きくて小さな国を相手に戦っていく時の理論が分かりやすく説明されている。論理的な内容も実施は難しいのも確かだが、実施の際に共通認識となるものがなければ成功は覚束ないのも、また事実。
 過去の日本はとんでもない相手を敵に回してしまったという気分になってくる。独自の文字と言語をもっていて、過去や国外の軍事理論を自分たちの状況に応用する能力があるわけで……植民地保有のステータスに盲目になっていたのかもしれないが、本当に愚かな真似をしたものだ。
 こういう文章で指導を行うためには、指揮官レベルの識字率が高くなければならない、という点を考えると「文芸講話」に話は繋がる。そういえば、曹操も自分で注をつけた兵法書を部下に読ませて組織のレベルアップと統一を図っていたと言うな。

 文芸講話は表現の自由を愛する立場からは受け入れられない部分もいくつか見られた。敵性の優れた作品は排除するべしとか真顔で言えるのが凄い。
 同じ論理によって自分の文章が敵国で排斥されても当然……と考えていたわけがないな。自分の正しさを疑っていない強さは眩しいものがある。そして、ひたすら恐ろしい。

遊撃戦論 (中公文庫)
遊撃戦論 (中公文庫)
カテゴリ:ハウツー | 21:46 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 21:46 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/2079
トラックバック