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反大坂の陣4〜復活への道 吉本健二

 ほぼ家康が主人公の物語であった。主人公の死によって物語は終演した。ついでに秀頼や殉死した治長たちも死んでいるが、衝撃は家康の死ほどではない。
 大坂方の視点がさまざまなキャラクターに分散するのに対して、徳川方は家康に集中していたせいで、こんな感想を抱くのであろう。大量の欠点を噴出させてはいるものの、人間的で魅力が感じられた。
 でも、さすがに息子の忠輝を見殺しにしたのはフォローできない……身内に対してもかなり濃淡のある人物である。信康が生きていたら、実際はどんな扱いを受けたのやら。

 駿府までついてきた宗茂が降伏してしまったのは残念だったが、状況的に仕方がないか。死に際に秀頼はいろいろと奇跡をおこす。
 最後まで戦い抜いた藤堂高虎は天晴れだった。正則たちより遙かに立派だと思うのだが、この世界の評価ではぜんぜん違うのだろう。

 家康を倒したものの、秀頼をうしなった豊臣家は日本の西半分をおさめるのに止まった。
 東では伊達と上杉と前田が100万石でみつどもえ、関東では土井利勝が家康の息子を名乗って、徳川家をまとめはじめたところで話が終わった。
 この先がすごく気になるなぁ……特に政宗にとっては「俺たちの戦いははじまったばかりだ!」気分でいっぱいに違いない。上杉はさらりと70万石も増やしていて卑怯だ。直江め、まったく出番のない話に限っていい仕事をする。
 日本が複数の国に分かれたままになるとすれば、いつか欧米によって植民地化されそうだ。主人公側が勝ったのに未来への展望で、史実に負けている感じが、かえって新鮮な作品であった。

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反 大坂の陣〈4〉復活への道 (歴史群像新書)
反 大坂の陣〈4〉復活への道 (歴史群像新書)
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