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帝国海軍先鋒航空隊5 林譲治

 二航戦がミッドウェー海戦に多少は似た展開で撃破される。十六航戦は無事であるものの、空母戦力に受けたダメージは重い。
 蒼龍の亀井艦長が「エクセルマクロは邪道」系のしょうもない人間だったばかりに、千人前後の命が失われたのではないか。性格的に艦と運命を共にしているだろうが、おかげで同類には反省の機会がない。徹底的に糾弾されて惨めな姿をさらして始めて、再発を防止できたのだ。
 作品初期にレキシントンを指揮していたニュートン少将が責任を取るために船からひきずり降ろされたことと比べてしまう。

 歩兵と戦車の死闘なども展開された――なかなかの戦場文学だった――ガダルカナル島はついには空しく放棄されることになった。
 陽動が半分は成功して撤退に成功できた点はよかったが、伊号潜水艦の犠牲は無駄だった気がしてしかたがない。

 組織に対する不満で読者の共感を追求するところが巧い。同じ戦記シミュレーション小説であっても描くものは、世相にあわせていろいろと変わってきていることを、長期間書いている作者だからこそ強く実感した。

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帝国海軍先鋒航空隊 5 (ジョイ・ノベルス・シミュレーション)
帝国海軍先鋒航空隊 5 (ジョイ・ノベルス・シミュレーション)
カテゴリ:架空戦記小説 | 00:44 | comments(0) | trackbacks(0)

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