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タイタニア1〜疾風編 田中芳樹

 ビバ二重権力構造。名実ともにトップだと危険が大きい。御輿をかついで美味しいところだけもらっちゃえ。
 そういう存在だと考えるにしてはあまりにも巨大すぎ、宇宙に名を知られすぎた一族、タイタニアの物語。
 頭の歴史解説が重い。重くて歴史趣味があるSF好きでなければ――ネームバリューを無視すれば――読み通せないのではないかと心配になる。しかし、宇宙の主流となる勢力の変遷は興味深いものがある。
 トップに多少は劣っても、二番手のライバルが必ずあるというこの世界の構造は冷戦時代的な価値観を感じる。あるいはローマにとってのパルティアやササン朝ペルシアなのか。アメリカ一極時代が長くなってくると、読者の受け取り方も変わりそうだ。
 まぁ、タイタニアの世界ではタイタニア自身がライバルを望んでいるところがあるので、現在の史実とはちょっと違う。そういえば強いソ連に復活してもらいたがっているアメリカ人テロリストの出てくる映画があったなぁ。

 とりあえず内輪での権力闘争が陰険で、政治劇の色合いが濃い話だった。イドリス卿の若いからこそ若さと相反するような狡猾さが印象に残って仕方がない。
 それに比べてアリアバート卿は無味無臭の水。しかし、実績は絶大だ。登場人物紹介でもアジュマーンの次に来ている。あいうえお順ではなく(年齢順ではあるかもしれない)。
 バルアミーの紹介でエストラードの息子と書きながら、エストラード候の紹介がないことにやるせなさを覚えた。

 個人的には漫画を先に読んでしまったのでキャラクターのイメージがガンテツ先生の絵で固定されている。とくにザーリッシュは忘れがたい。
 漫画ではしっかり描かれていた戦闘の描写が意外と淡泊で、あちらの再評価にもつながった。
 でも、田中芳樹先生の筆によるワイゲルト砲の構造説明にはついつい燃えてしまう。谷甲州ファンクラブで部分的に見覚えがある兵器だが。

 ところで、241Pのエーメンタール市はエウリヤ市の間違いではないのかなぁ。リラたちのことを指していると考えればおかしくはないが、どうしても規模の点ではエウリヤ市だと思ってしまう。
 出版社を変えて出ているくらいだから、エーメンタール市で正しいのだろうな。

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タイタニア1 疾風篇 (講談社文庫)
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当然のようにセンターを10歳児に譲るこの表紙……
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