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原始集落を掘る〜尖石遺跡 勅使河原彰

 信州の八ヶ岳西麓に存在する縄文時代の尖石遺跡の発掘に家族をかけた宮坂英弌氏の物語。
 発掘のために借金を重ねて、生活が困窮。妻と長男を失ってしまうのだから壮絶である。終戦直後とはいえ、凄まじすぎる。死んでしまうよりも、長生きして発掘を続けられた方が成果は大きかっただろうに……そんな計算ができれば借金で発掘なんてしないよなぁ。
 まぁ、本人は89歳まで生きたんだけどね!

 尖石遺跡が国指定の史跡に登録されるまでの展開には、中学校時代のコネクションが大きく働いていて、英カズ氏が普通の在野の研究者とは違うことを痛感させる。
 学友たちも彼の生活を知って驚いただろうなぁ。

 遺跡研究については、縄文時代の集落論に大きな影響を与えたことが良く分かった。研究の理解を深めた現地の地形が開発によって失われてしまっているという著者の感想が辛い。谷を埋め立てたところは地質的にも弱いだろうし、防災の面でも心配がある。
 困窮によって生活が縄文時代に近づいてしまう宮坂家はやりすぎにしても、人々の生活は過去から遠くなっていくばかりで、未来の考古学者たちがセンスをもって仕事をおこなえるか、心配になってきた。

 ところで著者の姓がすごく……珍しいです。とある漫画のキャラクターで知っていたから読めたが。

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原始集落を掘る・尖石遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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