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東西弥生文化の結節点〜朝日遺跡 原田幹

 愛知県の清須市に存在する朝日遺跡は東海地方を代表する大規模な弥生時代の遺跡である。
 環濠を有し、逆茂木がうわっていたことも確認されている。そして、なにより周辺地域の多様な要素をもった発掘品が確認されている。またパレススタイル土器など独自の文化発達がみられる出土品もある。
 まさに東海地方らしい交流のセンターであったことが伺える性質をそなえた遺跡だ。

 やはり軍事施設的要素の強さが興味深い。防御施設の復元図はアレシアの攻囲陣を思い出させた。
 さすがに北集落が南集落を攻める施設を起源としていたと考えるのは無理そうだ。距離が近すぎて工事ができるわけがない。
 そうであったとしても性質の異なる二つの集落の関係は気になった。特に北集落は魅力的な発掘品があるにも関わらず一部しか掘られていないので、今後の発掘を期待したいところだ。

 ところが朝日遺跡には開発の波が押し寄せており、遺跡保存も思うように進まなくて、苦労しているという。シリーズの他の巨大遺跡にくらべると苦労していることが感じられた。
 愛知県が財政難を理由に遺跡保存の手を止めていてよいものなのか。もっと厳しい財政条件の自治体で、遺跡保存に打ち込んでいる例はたくさんあるはずだけどな……。
 なんとか遺跡の規模にふさわしい研究施設と保護がもうけられてほしい。

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東西弥生文化の結節点・朝日遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」088)
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