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房総の縄文大貝塚〜西広貝塚 忍澤成視

 千葉県、房総半島にかつて存在した西広貝塚。2メートルにも及ぶ異様な厚みをもった貝の層からは大量の遺物が発見された。
 なぜなら、宅地開発に際して貝塚はまるまる消滅させられる運命にあったから、調査の責任者たちが全ての貝たちを持ち出したのだ。そして、水洗い、ふるい掛けである。
 おそろしくマンパワーを使った研究手法はなんだかソ連的なものさえ感じてしまう。おかげで細かい物まで縄文人が貝塚に遺した物が明らかになった。

 中でも印象に残ったのが、装身具に使われるタカラガイやイモガイの研究だ。
 南房総に密集して打ち上げる場所があるという情報は、現代のコレクターにも耳寄りかもしれない。これらの「特産品」を駆使して、房総半島に不足している石材を確保していたらしいことが、まるで泥と水とアスファルトしかなかったメソポタミア文明みたいで面白い。

 著者が装身具に使われるきわめて珍しい貝オオツタノハのことを調査したいがために、これまで生物図鑑で言われていた分布域の情報を書き換えてしまったことが面白かった。
 考古学者でありながら生物学的な業績をあげている!そういえば古生物学者でも比較の必要から現世の生物に入れ込みまくる人がいるなぁ。すべての関わりを読み解いてこその学問だ。

新泉社 遺跡を学ぶシリーズ感想記事一覧

房総の縄文大貝塚・西広貝塚 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
房総の縄文大貝塚・西広貝塚 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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