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縄文の社会構造をのぞく〜姥山貝塚 堀越正行

 古くから研究されてきたことが良いこととは限らない。東京に近く歴史的に繰り返し発掘調査を受けてきた姥山貝塚の研究史をみてついついそんなことを感じてしまった。できるだけ近代的な方法で全面的に発掘調査されるのが理想なのだが、そんなお金はなかなか出てこない。同じ資金で複数の遺跡がトレンチ調査される方が、多くの歴史的事実が明るみに出てくるかもしれない。
 それにしても人類学教室がやったことの記録はちょっと……著者のいうように分野の違いも大きいのだろうな。遠足会でのかなり適当な発掘は、アマチュアに真似されたら有害そうな行為だった。それで炉の跡がみつかって竪穴式住居の完全なものが初めて発見されることになってしまうのだから困ったものだ。

 竪穴式住居といえば、一軒から五人の骨が発掘されたところがやはり気になる。ミステリーのニオイがする……ペロッ、この味はテトロドキシン!
 フグ毒説はやっぱりあったんだな。しかし、住民を四人としても全員が住むには小さいことなど、気になることはたくさんある。
 そもそも縄文時代に子供と大人がどういう距離感で暮らしていたのか、かなり謎があるようで、興味深く好奇心をかき立てられるが、答えのでないもどかしさも強かった。

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縄文の社会構造をのぞく―姥山貝塚 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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