<< 縄文の社会構造をのぞく〜姥山貝塚 堀越正行 | main | ジュゴンの上手なつかまえ方〜海の歌姫を追いかけて 市川光太郎 >>

未盗掘石室の発見〜雪野山古墳 佐々木憲一

 滋賀県の東南部、雪野山の山頂から偶然発見された古墳はまったく盗掘を受けていない貴重な古墳だった。
 副葬品の位置がまったく変わっていないと想像され、漆の膜が残っている状態のよさを誇る雪野山古墳の発掘記録。

 写真で見ると鏡以外の副葬品がほとんど目立たないのだが、取り上げられたあとの写真ではちゃんといろいろな物が存在している。埋葬された人の体も残らない状態なわけで、未盗掘といっても風化とは無縁ではいられなかったわけだ。
 山頂という寒暖差の激しい環境も厳しかったのかもしれない。
 それでも得られる情報は多くて、定番の三角縁神獣鏡分析や古墳の形態調査を中心に、畿内勢力との関係が論じられている。畿内を通してか、直接か、北九州とも交渉があったらしいことが驚きだ。
 琵琶湖を北に抜けて日本海航路を使えば意外と近いからなぁ。独自の交渉があっても不思議ではない。

 雪野山古墳が山城に改造された痕跡があると中井均氏の縄張り図を取り上げて紹介しているのに意表をつかれた。なるほど、後円部を本丸に、前方部を二の丸にすれば、お手軽に城への改造ができるのね。
 おもしろいけど、攪乱が迷惑な話である。まぁ、盗掘されなかっただけマシかな。

 紹介された古墳には前方後円墳、前方後方墳、円墳、方墳の順番で序列があるという説を覚えておいて他の本でも、そこに注目して読むようにしたい。

新泉社 遺跡を学ぶシリーズ感想記事一覧

未盗掘石室の発見・雪野山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
未盗掘石室の発見・雪野山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
カテゴリ:歴史 | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

カテゴリ:- | 20:56 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sanasen.jugem.jp/trackback/2203
トラックバック