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信州の縄文早期の世界〜栃原岩陰遺跡 藤森英二

 縄文王国長野で発見された大量の縄文人人骨。通常では骨が滅多に残らない酸性土壌の日本で、縄文時代の人骨が残されていた背景には、その場で焚かれた焚き火による大量の灰が関係していた。

 ……煙たくなかったんだろうか?岩陰遺跡の地形を知って、焚き火のことを考えるとそんな疑問が起きる。
 やはり経験から洞窟内の気流を把握していて、適切な場所で焚き火をしたのかもしれない。各時代のモデルを作って、あるいは現地で、気流を計測してみたら面白い気がする。

 最大の発見物である人骨から分かることに縄文人は華奢という意外な事実がある。時代をさかのぼるほど逞しい肉体をしているイメージに反して、現代人よりも上半身がほっそりしているらしい。
 代わりに足腰は非常に強くて、長距離移動生活を想像させるようだ。
 考えてみれば栄養が安定してとれる環境に恵まれていないので、もっとも重要な器官にエネルギーが集中するのも自然なことだ。

 他にも驚くほど大量の遺物が残されており、研究を続けていくべき立場にある著者はうれしい悲鳴をあげている。幸いにも他の研究者にとっても魅力的な遺跡らしく、いろいろと専門家が分析の手をさしのべている。

 博物館で行っている体験学習を想像させる写真や文章もよかった。

新泉社 遺跡を学ぶシリーズ感想記事一覧

信州の縄文早期の世界・栃原岩陰遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」078)
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