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縄文文化の起源をさぐる〜小瀬ヶ沢・室谷洞窟 小熊博史


 新潟県長岡の考古学者、中村孝三郎。家業の呉服屋を継ぎながら、学校で学ぶことなく考古学を修めた異色の経歴をもつ彼が熱意をもって発掘した小瀬ヶ沢・室谷洞窟。
 この二カ所から発見された土器は縄文時代草創期研究への道を切り開くとても重要なものであった。

 最初は中村孝三郎の伝記みたいになっていて、紆余曲折をへて博物館の学芸員になった彼の生き様が描かれている。
 そこからシームレスに小瀬ヶ沢・室谷洞窟の発掘調査記録が紹介されていくのだが、出土品の膨大なことに驚かされる。石器が敷き詰められた状態で出てきたというのだから半端ではない。
 土器を主題にしながら表紙が石器なのは、小瀬ヶ沢洞窟発見のきっかけになったことや、出土量の多さも原因だろう。草創期の土器では破片が多いせいもありそうだが、それでもちょっと下れば完品はあり、貴重な資料になっているとのこと。

 出土品が多いわりに発掘調査報告書が早くでている印象をうけた。後世に分析につかえる貴重な資料を残しているし、中村孝三郎氏がそうとうしっかりやっていたことが感じられる。
 重要文化財への指定にあたって再整理をおこなった筆者たちの仕事も評価したい。細かい仕事をしっかりやりとげるのは新潟の県民性なのかなぁ。

 石鏃の中から遠く北海道や神津島からやってきた黒曜石がみつかっている点も興味深かった。サッカー選手のユニフォーム交換的に石鏃を交換していたんじゃないかと思ってしまう移動距離だ。

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縄文文化の起源をさぐる・小瀬ヶ沢・室谷洞窟 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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