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中国山地の縄文文化〜帝釈峡遺跡群 河瀬正利

 中国地方の山奥にある帝釈峡は石灰岩地帯であり、川によって削られて出来た岩陰がたくさん分布している。
 1960年代になって、ここに生活していた縄文人たちの痕跡が発見され、現在に至るまで発掘作業が続けられている。

 広島大学の根気が凄い。遺跡が55カ所あって、13カ所にしか手を着けられていない状態とのこと。すべてを調べ尽くすまでに後何十年かかることか……過去の発掘作業まで考古学の対象になっちゃうよ。

 そんな状況であるせいか、フィールドの説明が最低限で、いきなり出土品の整理に入ってしまった。途中で埋葬の説明に一部の岩陰は図が出てきたが、事前に上黒岩岩陰遺跡の本を読んでいなければイメージは難しかったと思う。
 帝釈峡遺跡群でも遺骨は壁際に埋葬されている。住居に埋葬をしたら、死因が病気の場合に危険だと思ったが、帝釈峡の寄倉遺跡の場合はいったん埋めた遺体を掘り返して、埋め直した二次埋葬らしいので、その問題はなさそうだ。死因によって対応を変えていたのかもしれない。
 寄倉遺跡に住んでいた人の一次埋葬はどこで行ったのか、気になった。

 著者が強調しているのは縄文時代には山奥をふくめた広域の交流が行われていたことで、それは帝釈峡遺跡群での海の貝や黒曜石の産出からも明らかだ。
 イネ類のプラントオパールも見つかっているというし、やはり侮れない時代である。

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縄文文化のはじまり〜上黒岩岩陰遺跡 小林謙一

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