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最初の巨大古墳〜箸墓古墳 清水眞一

 宮内庁バリアを透かしみて、断片的な情報や周辺の古墳から箸墓古墳の真実を見抜こうとする想像力豊かな一冊。地に足がついたどころか、地に掘った穴に足を入れて固定しているシリーズの本が多い中で、空中を蹴っているところに異色が感じられる。
 いろいろと制限があるのも事実だが、著者の個性もかなり影響している印象だった。

 それゆえにおもしろい点もあって、箸墓古墳の形が中国の神仙思想に描かれた「壷」に由来しているとする。
 だったら表紙の写真を上下逆さまにして壷っぽくみえるようにしなかったのはどうして?わざわざ自分で裏返してみたが、そう言われてみると確かに壷に見える。後円部は壷の内側になるから死者が入って魂を閉じこめられるのに向いている。
 それだったら壷の口(前方部の直線部)に特別な施設をおかないかな……仮説に仮説を重ねても発掘による立証ができなければ空しい。

 有名な纏向遺跡との関係や布留地区の説明、三輪山信仰の話などがあって、大和の地形に詳しくなれた。
 上ツ道に古墳の方位が規制されている図は本当なのだろうか。正確な東西軸や南北軸なら道がなくても――巨大すぎて既存地形に規制される大王墓以外は――方位がそろってもおかしくないと思った。

 シリーズ内から桜井茶臼山古墳・メスリ山古墳の本や纏向遺跡の本をあらかじめ読んでいたので空中戦気味でも理解が進みやすかった。吉備の楯築弥生墳丘墓を研究した近藤義郎氏の名前が出てきたときはドキッとした。弥生土器研究の森本六爾氏もちらっと名前があがっている。

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最初の巨大古墳・箸墓古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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