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地域考古学の原点〜月の輪古墳 近藤義郎・中村常定

 岡山県の吉野川ぞいに位置する飯岡(ゆうか)村。この村を見下ろす月の輪山の山頂には巨大な円墳の月の輪古墳が眠っていた。
 戦後の歴史教育の大転換を前にして、受け身ではなく、積極的に歴史を学ぼうとした飯岡村民たちの奮闘記。あきらかに遺跡ではなく、住民が主役になっている異色の一冊だが「遺跡を学ぶ」のタイトルから考えると王道にも思えてくる。

 月の輪古墳自体も興味深い遺跡で、大量の刀剣が出土して、包んでいた絹がそれぞれ別の物と判断されている。部下が被葬者に一本ずつ捧げたという説はロマンがある。金属は貴重なものだから、かなり慕われていた指導者だったのだろう。
 まぁ、飯岡村にはたたらの後もあるみたいなので、刀剣を捧げやすい条件は整っていたのかも。

 遺跡発掘運動については、それ自体が歴史になっていることを強く感じた。凄いことだとは思うが、ちょっと遠い世界のできごとにも思えてしまう。
 夏休みに自分たちで丸裸にした山の山頂で活動することは、かなり大変だったと思われる。写真をみても、みんな凄く日焼けしているからなぁ。
 いまにも活動が続いている部分があることが、また感動的だ。当事者である著者の二人がそろって80歳を超えていることにも感心する。

関連書評
吉備の弥生大首長墓〜楯築弥生墳丘墓 福本明:近藤義郎氏が主役。楯築弥生墳丘墓を発掘するときに地域住民への語りかけに熱心だった理由は、地域考古学の原点〜月の輪古墳を読むと分かる。

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地域考古学の原点・月の輪古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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