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新しい旧石器研究の出発点〜野川遺跡 小田静夫

 国際基督教大学(ICU)の敷地内でみつかったローム層中に出土する旧石器時代の石器は10枚の文化層にもおよび、旧石器時代研究を牽引する史料を提供した。
 この野川沿いに分布する遺跡の紹介をおこなう一冊。

 縄文時代の遺跡も発見されており、軽く紹介している関係で、駆け足の印象が残った。まぁ、ICUに来たキダー博士のそもそもの目的は縄文研究だったので、触れないわけにもいかないか。
 大学の構内で発掘しほうだい。そのままフィールドになる状況はすばらしく理想的だ。ついでに実習も繰り返しおこなわれているそうで、遺跡を探査するという感覚が狂ってくる。

 なぜかは知らないがゴルフ場があって、遺跡写真の向こうでゴルフバッグを運ぶゴルファーの姿が写っていたのが面白かった。あの人は今頃何をしているのだろう……それもまた歴史。

 ローム層からは石器だけではなく、花粉などを検出することにも成功していて、古環境の復元も伴っている。イラストと併せて時代を読み解いていくと、なんだか理解した気持ちになれる。
「東京は坂の町」という言葉がわかる土地利用を旧石器人がしていたことも朧気ながら理解した。

 神の手事件についても言及があって「だから言わんこっちゃない」という著者の呆れが感じられた。このシリーズを読んでいると、本当になんであんな方法にみんなが騙されたのか不思議でしょうがない。人は信じたいものを信じるってことなのか……。

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新しい旧石器研究の出発点・野川遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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