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縄文人を描いた土器〜和台遺跡 新井達哉

 福島県は阿武隈川流域、支流の女神川沿いの高台に位置する和台遺跡から人の姿をかたどった土器がみつかった。
 しかし、それは炉に埋められていたという事実。西を向いていたらしいがそれに意味があるのかは不明である……他にも狩猟文土器などおもしろい土器が出土して、見つかる竪穴式住居の数も膨大な話題の和台遺跡から阿武隈川周辺の縄文時代を描き出す。
 あと、複式炉についての説明が行われる。これ重要。

 だが、人の姿が描かれた土器も、複式炉も正体は判然とせず、もやもや感が残ってしまった。
 複式炉についてはオンドルに通じる暖房装置なんて妄想をしてみたけれど、一酸化炭素中毒の危険があるだけか?あの屋根ならすきま風も多いからそんな事故はないかなぁ。

 人の姿を描いた土器については更に曖昧模糊としていて、最終的には姿が見えない状態で使われていたのが本当に謎である。おかげで保存状態がよかったわけだが。
 最初に図1の写真でみたときは刺突模様に目が行ってしまって、どこが人の姿なのか分からなかった。意識するとはっきり分かるのだが(特に表紙写真)。

 あと、福島は阿武隈川のたまものみたいな紹介があったけど、宮城から海に注ぐわけで浜通りの人からは異論が出そうだと思った。流れの方向が変化して、地形の形成を考える上でもおもしろい川ではある。

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縄文人を描いた土器―和台遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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