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大和葛城の大古墳群〜馬見古墳群 河上邦彦

 やはり奈良県は次元が違う!
 遺跡を学ぶシリーズには埼玉などの古墳群を紹介する本があるが、奈良盆地西部をとりあげた本書では三つの古墳群をまとめて扱っている!
 ずっと古墳の紹介が続いていて考察がまったくないかと思った……最後の最後に葛城氏の墳墓と考えられる古墳と、それ以外の古墳を分類する考察があった。
 場所柄史書とのつながりも深くて興味をかき立てられるところだ。

 数が多いだけに盗掘を受けている例も目立ってしまって、盗掘の文字が出るたびにストレスを感じた。
 著者たちが調査をおこなう動機には盗掘を受けているとの情報が得られたから、という場合がままあって、未盗掘のまま調査できたらどれほどの情報が得られたか夢想してしまう。
 予算や時間的に難しいことは予想できるにも関わらず。「盗掘の後始末」をすることになった著者の気持ちは書かれていないが、心中察するにあまりある……。
 というか、本書に載っている未盗掘古墳の発掘結果をみる限りでは、それほど換金できるものが出てくるとは思えないんだけどなぁ。少なくとも労力には見合わないのではないか。本当に学習してほしいものである。

 半分だけ復元されたナガレ山古墳の写真がおもしろかった。キカイダーみたい……。

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大和葛城の大古墳群―馬見古墳群 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
大和葛城の大古墳群―馬見古墳群 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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