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ヤマトの王墓〜桜井茶臼山古墳・メスリ山古墳 千賀久

 さすがは奈良。他の土地なら決して一括して扱うことのない規模の古墳を揃えて一冊で紹介している。
 メスリ山古墳の副室から出てきた出土品の量に頭がクラクラした。旧石器時代の黒曜石の破片じゃないんだぞ(それだったら更に二桁違うが)!
 話のツカミには超巨大な円筒埴輪をもってきておいて、表紙は王杖であることが興味深い。こういうズレは他の本にもあるが、著者のこだわりが感じられる。

 出土品や構造の解説でかなり紙面を使っていたけれど、最終的には箸墓古墳などと比較したときの桜井茶臼山古墳・メスリ山古墳――本書では磐余(いわれ)の古墳ともいわれる――の位置づけが与えられている。
 さすがに対応する天皇の名前はあげられなかったが、わりとすっきりした気分になれた。なお、王墓ではなく阿部氏のオホビコとタケヌカハワケが該当するとする説は紹介されていた。

 古墳構造では前方部がバチ型に広がるのではなくて、まっすぐで全体が柄鏡型になっている点が最大の特徴だ。
 尾根を利用している関係もわかるけど、桜井茶臼山古墳とメスリ山古墳で方位が一致していない点が気になった。時代的に古い古墳だからなのであろうか。
 西日本と東海の勢力が力をあわせて、それぞれから産物をもちよって古墳を飾りたてている様子はなんだか微笑ましい。共同作業は結束を強める。そういう意味ではやっぱりピラミッドと同じだなぁ。

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ヤマトの王墓―桜井茶臼山古墳・メスリ山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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