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律令国家の対蝦夷政策〜相馬の製鉄遺跡群 飯村均

 福島県の浜通りに分布する製鉄遺跡群。地元でも正体をつかみかねていた遺跡の正体は古代に対蝦夷戦争を支えた製鉄場だった。
 近くの山林からえた木炭と海岸の砂鉄をつかって膨大な鉄が生み出され、前線や寺院に供給された。しかも、最新の技術が中央とほとんどタイムラグなく導入されて、現地での技術革新もあった。
 古代東北の工業力が高かったことを感じさせる。

 足踏みふいごの復元で、ついついもののけ姫を思い出してしまう。羽口が先端だけではなく、送風管に使われていることなど、技術的な話も興味深い。
 砂鉄の成分や木炭の燃焼エネルギーなど、随所に化学的な分析が顔を出している。

 遺跡の発掘状態がどれも綺麗だと感心していたのだが、最後の方で遺跡がひとつも保存されていないことを知った。工事にともなう発掘ばかりだったのだな……東国得意の鋳鉄技術の系譜につらなる意味でもひとつは記念碑的に史跡公園化してほしいと思った。

 こんな工業力と技術力をぶつけられた蝦夷が不憫だ。律令国家側は完全に組織で戦争している。諦めないかぎり必ず勝つ。

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律令国家の対蝦夷政策―相馬の製鉄遺跡群 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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