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奈良時代からつづく信濃の村〜吉田川西遺跡 原明芳

 縄文王国なのに、奈良時代から現代までの遺跡!縄文王国なのに!!
 松本平に存在する吉田川西遺跡は古代から現代までの連続性を確認することができる「特別」な村の遺跡であり、この地域の歴史を連続してみることができる歴史のスナップ写真ならぬ歴史の映画である。

 出土した緑釉土器の質がすばらしい。
 著者が唱える馬や牛の飼育をつかさどることで養われた経済力の高さがうかがわれる。山奥といえば貧しいイメージを抱いてしまいがちだが、近代では木材資源の供給などもあって、現金収入をえられる地域もあったことを念頭においておきたい。
 一方で、けっこう武装していたらしいことは、自力でなんとかしなければならない地方ならではなのかな。

 著者は古代から近代にむけて、時間の経過通りに吉田川西遺跡の歴史を説明していくが、実際の発掘は逆方向であったことが気になる。考古学者が経験することは、村が経験したことの逆回しになるわけで、それを整理し直して並べるのは訓練が必要なのではないか。

 中世以降は遺物がでにくくなるという現象も興味深かった。そして、村落遺跡が現代の住宅地によって隠されている可能性の指摘も……一部は人口減少によって手が届く機会が現れるかもしれないな。でも、そうすると大昔から続いてきた集落が途絶えたことになってしまう。悲しい。

関連書評
東山道の峠の祭祀〜神坂峠遺跡 市澤英利:東山道つながり。この峠を超えて吉田に来る人もたくさんいたはず。

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奈良時代からつづく信濃の村―吉田川西遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
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