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サバからマグロが産まれる!? 吉崎悟朗

 サバを読んで今年の夏には産まれると明言できないものの、筆者がちゃくじつに進めてきたサバからマグロを産ませる驚異の研究の記録。
 最初は何となく抵抗感をもっていたものの、研究内容の凄さと苦労話を読んでいるうちに、肯定的な気分になってきた。遺伝子的にも問題なく量産できるなら、避ける論理的な理由は思いつかない。
 ただ、この技術を応用して魚の養殖で品種改良をおこなうのは、逃げ出された場合のリスクが高いと思った。完全に陸上の水槽で飼える魚なら構わないけれど、海に生け簀をつくって養殖するタイプの魚では避けて欲しいところがある。

 もう少し控えめな、絶滅が危惧されている魚の生殖細胞を確保しておいて凍結、いざという時には代理親をつくって種を復活させる計画も興味深い。
 アメリカのレッドフィッシュレイクのベニザケはなんであんな無茶苦茶な漁業がまかり通っているのだろう……そこから気になった。欧米ともちあげても全体で保護が巧く言っているわけではなさそうだ。
 そして、クロマグロを食い尽くそうとしている日本人も深く反省しなければならない。願わくば、この技術で復活できるから、いくら食べても大丈夫などと安直に考える人間がでませんように。
 そういえばウナギへの応用は難しいのかなぁ。

 研究は目的にむかって、ひとつひとつパズルのピースを探して、あてはめていく作業が読んでいてエキサイティングだった。
 vasaでmRNAとか卵を28度に加熱して造った三倍体の不妊個体に生殖細胞を注入して別種の卵と精子を選択的に産ませるとか、「生命をハック」している感じがもの凄い。
 さらりと述べてもピース探し(時にはピースづくり)が恐ろしく大変なのも十分にわかった。それ以上にゴム長靴を履いて行う「魚飼い」が地道で大変な仕事のようで……。
 著者が一人称に「私たち」を多用するわけだ。

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サバからマグロが産まれる!? (岩波科学ライブラリー)
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