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火星〜最新画像で見る「赤い惑星」のすべて ジャイルズ・スパロウ 日暮雅通・訳

 これおもしろい!これセンス・オブ・ワンダー!!惜しむらくは訳が
 2014年に至るまでの火星探査の成果を一冊にまとめあげた珠玉の一冊。高解像度の火星画像がおしげもなく使用されており、適当にページをめくるだけでも無限に時間をつぶせる。
 火星の地図帳のようでもあるが、全体像を描くことよりも、それぞれの特徴的な地形を紹介することを優先させている。全体が知りたければGoogleEarthで火星を表示するなり、なんなりして出来るからな。
 この本と重ねて使用することで、さらなる火星通になることができるはず。

 ただオービターの画像を見慣れていないとついつい凹凸が逆にみえてしまうのが辛いところ。実際に堆積岩の方が堅くて残った「逆転地形」があるから、ますますややこしい。
 人間の目は無意識に上側からの光線と影を解釈しやすいらしい。困ったときはクレーターを注視して感覚を取り戻そう。

 探査機ではESAのマーズエクスプレスが多くの魅力的な画像を提供していた。NASAが凄いのはしかたないにしても欧州にも遅れをとるのはぐぬぬぬぬ……おのれ、あの時のぞみが到達しておれば今頃!そんなことを言っているうちにインドの探査機も火星にたどり着いた。
 ソ連の探査機が火星に呪われているみたいに失敗しまくっているのはやっぱり怖い。赤い国が赤い星に嫌われるとは皮肉だ……まぁ、時差を克服する技術が必要だからな。当時のソ連には月よりも難しい目標だったのだろう。

 それにしても、あの流れの中でバイキングが2機(オービターとランダーを別に数えれば4機)まとめて成功させてしまったNASAの力はすさまじいものだ。
 なにげにランダーの方がオービターよりも長生きしたことを知った。オービターも現代でも通用する写真をたくさん撮っている。

 あと、老兵マーズ・オデッセイの成果も意外に多く収録されていて嬉しかった。MGSとMROの間に埋もれるものかと……能力が被らないように送り込んでいるので見せ場があるのは当然かもしれない。
 また、どんなに能力が上位互換でも季節変化を解析するためには過去の成果が重要になる。そういう意味ではハッブルや地上の天文台、はてはアマチュアまでもが撮像したデータもかなりの価値をもっている。
 複数のオービターが火星上空を飛び回る時代には生み出しえない価値を……。

 オービターの画像と地質学的な解釈に興奮する一方で、ランダーが写した岩だらけの画像にはちょっと冷めてしまう自分がいた。
 だから最近の探査機ほど青色を強調した画像を発表していると考えるのは穿ちすぎだろうな。たまに青く表現された砂丘を波打つ海に見間違えて幸せな気分を味わった。
 やはりテラフォーミングにはロマンを感じてしまうのであった。

関連書評
火星の人 アンディ・ウィアー 作/小野田和子 訳
未知なる火星へ――生命の水を求めて―― ディスカバリーチャンネル

火星: 最新画像で見る「赤い惑星」のすべて
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